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デレク・ジャーマン


題名=セバスチャン 1976年 (イギリス)
出演者=レオナルド・トレビーリョ/バーニィ・ジェイムス/ケン・ヒックスetc...

ローマ帝国とキリスト教について

この映画の時代背景は、ディオクレティアヌス帝統治下(284年〜305年統治)のローマ帝国。
                      (↑初の専制君主政)
歴史的に、その前後関係を見ると、250年から統治していたデキウス帝は、キリスト教徒を迫害しております。
ちなみに235年から284年までは、軍人皇帝の時代でした。
そして、ディオクレティアヌス帝を挟んで、次に統治したコンスタンティヌスT世(306年〜337年統治)によって、やっとキリスト教が公認され、その後392年から統治したテオドシウスT世により、キリスト教は国教とされたのでした。

なので、このディオクレティアヌスの統治下が、いかに宗教的混迷期であったかが、容易に想像出来るかと思われます。残酷さは正義を装い、多くの聖人が犠牲となって殉教して逝ったのです。


これを踏まえた上で映画の本筋に入って行こうかと思います。

主人公セバスチャンは、ディオクレティアヌス帝の近衛兵隊長でした。
しかし、キリスト教に改宗したがために、最も卑しい兵隊にまで地位を落とされ、そこでもキリストへの信仰を貫いたが為に、石で打たれ、最終的に矢で射抜かれて殉教してしまいます。

デレク・ジャーマンによると、セバスチャンは、すこぶる美青年であった!という事になっているのですが、・・・・・
この映画に出てくるセバスチャンは、・・・?男前なんでしょうけれど、
・・・美しい〜とは〜・・・管理人思えなかったかな〜(^▽^;)
どちらかというと、このセバスチャンに恋してしまい、何度拒絶されても男●行為を強要しようとするセベルス隊長の方が数倍美しかったと思う!・・・役者に文句かよっ!

「おまえを抱かせろっ」ってセリフがあるんですよ〜〜〜もの凄いストレート!でも至って新鮮でした。

それはいいとして、(^^;)拒絶される度にサディスティックになってゆくセベルスの演技に、管理人やるせない気持ちにさせられました。
表面的には軽蔑しているような言動をとっていたものの、実はセバスチャンもセベルスを別の意味で愛していたんです。
・・・難しいところですね〜(おそらく、セバスチャンが感じていたセベルスへの愛は友愛だったのでは・・・)

そして、セベルスは次第にキリスト自体に嫉妬するようになっていきます。
あらゆる運命がセバスチャンを殉教者へと、セベルスを処刑人へと導いて行きます。
セベルスは最後の最後まで、セバスチャンを処刑したくはなかったのです。
キリストから離れてくれさえすれば助けられる!と思っていたのではないかと、管理人深読み致しました。(^▽^)v


当時の評価としては、セリフがすべてラテン語であったが為に、ドイツでは耳に馴染まず不評。フランスでもなぜか酷評され、アメリカでは、同性愛描写に厳しい指定が付いた為に、ハードコアを期待した客が集まり、ガッカリさせる結果に・・・(^^;)
しかし、イタリアとスペインではかなり好評を得たんだそうです。

・・・・・なんとなく解る気がする・・・・・ちょっとパゾリーニっぽいし


2006/2/10UP




デレク・ジャーマン

題名=ザ・ガーデン 1990年 (イギリス・日本・西ドイツ)
出演者=ロジャー・クック/ティルダ・スウィントン/デレク・ジャーマンetc...

私がデレク・ジャーマン作品を初めて観たのは、英国のロックバンド「THE SMITHS」の“The Queen Is Dead”(86年)という楽曲のプロモーションビデオででした。
デレク・ジャーマン自らミュージックビデオで一番気に入っているのは“The Queen Is Dead”であると公言しております。
次に観たのがこの「ザ・ガーデン」でした。   

〜デレク・ジャーマンの「庭」を撮りたかったんです。「最初の庭」つまり「エデンの園」という意味も込めて。そして、もっと広い意味での「庭」について。例えば、ヘヴン(天国)という言葉は、本当はパラダイスという意味でもあり、パラダイスはガーデンとも同じ意味というような〜」 by.デレク・ジャーマン
8ミリ、16ミリ、そしてビデオ編集という手法によって生み出される映像は独特です。
この、映像のコラージュを観ているだけでも楽しいんです!
内容的にはキリストの誕生から殉教までを、現代に置き換えて、しかもキリストを連想させる登場人物はホモのカップルと、シーツを纏ったオジサンだという・・・。

そして、まるで、NHKの特集かと思うほど、ほのぼのとした風景のコラージュ。そこに溶け込むホモカップルの抱擁シーン・・・そうかと思うと急にミュージカル仕立てになって、クレジットカードのコマーシャル?・・・画面左上には首を吊って舌が変色したユダ(裏切り者のユダ)が、クレジットカードを指差して笑っている・・・。
金で、キリストを売ったユダにクレジットカードのコマーシャルって・・・恐っ!

それぞれの登場人物が、色んな理由によって迫害されてゆきます。

現代社会で翻弄され虐げられる心優しき者達・・・。
彼らが安心して自然のままでいられる場所。
それが、デレク・ジャーマンの「庭」なのだと感じました。       

途中に挿入される石をふるいにかけるシーン。
これも、宗教的です。
信仰の無い者が、どんどん網から外れて落ちてゆく・・・。

そして、ホモのカップルは迫害され、殺されてしまいます。

彼らはラストシーンに再び登場してきます。

何もかもが終わった後、
            それでも全てを許すかのように優しく微笑んでいます。


女性がかごの中から紙に包まったお菓子を一人ずつに配ります。
(ラストシーンはホモのカップル、子供、女性、年配の男性の5人です)
みんなでそのお菓子をもの凄く嬉しそうに、幸せそうに食べるのです。

最後に彼らはお菓子を包んであった薄い紙を筒状に丸めて火を付けました。
するとその紙が、天に引っぱられるかのようにヒュ―ッと昇ってゆくんです。

                             

この上ない優しさに満ち溢れたラストシーンだと思いました。   

2005/11/10UP



題名=エンジェリック・カンバセーション
本文作成中

題名=ラスト・オブ・イングランド
本文作成中